元帰国生(海外で幼少期・学童期を過ごした期間のある方=TCK)を
お招きしてご自身の海外移動がもたらした影響やHome感について語っていただくコーナーです。
だれでも、生まれてからずっと付き合っている自分自身。
海外移動が何を自分の人生にもたらしたのか、ゲストの皆さんが大人になったからこそ、見えて来たものがあるはずです。社会場面では、なかなか語られなかった事柄、語れなかった想いなど、掘り下げていきたいと思います。元帰国生の「HOME」を聴くことで、日本の将来の国際性も見えてくると期待しています。
―第100回目のインタビューは、嘉納 ももさんのお話です。
・海外渡航歴 1回
(神戸生まれ/ 東京・渋谷へ引越/
3歳 イギリス・ロンドンへ引越。ナーサリー、幼稚園に通う/
4歳 フランス・パリへ引越。パリ郊外で、現地校に通う/
15歳 日本に帰国。神戸のカトリック系女子高校に編入/
関西学院大学社会学部、同大学院修士課程を卒業/
トロント大学博士課程に留学、社会学博士号(PhD.)取得/
京都女子大学准教授を経て、2009-2020年トロント大学にてエスニシティ研究プログラム事務局長/
現在トロント郊外で通訳・翻訳業を営みながら、カナダ人の夫と愛犬と暮らす。)
・活発でおてんばな女の子だった。
イギリスの記憶は定かではないが、フランスでは飛び級を果たしてしまった!
小学校の読み書きテストにパスした自分は、1年生を飛ばして2年生から小学校生活をスタートさせた。作文や暗唱を重視していたフランスの学校教育では、言葉を叩きこまれた。そのお陰で、高校まで語学において苦労せず学校生活を送れたことに感謝している。
・中学3年暗唱クラスでの先生とのバトルは、忘れられない出来事として影響を受けている。
戯曲の暗唱を課せられるクラスで、準備不足のために先生に叱責を受けた。通常は2週連続で同じ生徒が当てられることがないのに、自分が当てられ再び暗唱できなかったことを先生に罵倒された事件が忘れられない。学期中の最後には、全て暗唱できたにもかかわらず、褒められることはなかった。フランス学校生活における理不尽な扱いを経験し、その後の日本での学校生活は、非常に優しく「楽勝だ!」と感じたことを鮮明に記憶している。
・日本帰国後、半年間はフランスに戻りたいと思っていたが、父母のネットワークのお陰でコミニュティーに慣れていった。
よそ者はすぐには受け入れてもらえないと、フランスの体験上、心得ていた。様子見の期間を過ぎ、自分の長所を周りに理解されれば、なんとかやっていけるという考えは備わっていた。例え、その場所で躓いても、「他に行けば、自分のやれることはある」という信念は持ち合わせていたと思う。
トロント大学の博士課程卒業式
・海外生活がもたらした影響は何ですか?
➡移動がそれほど多くはなかったため、フランスでの11年間は移民のような立場で育ったと思う。それ故に、自分のベースを創れたと感じるとともに、不安定さもないと感じる。また、15歳時の日本帰国は、それなりに成長していたため、冷静であったと振り返る。
移動の影響を敢えて挙げるとしたら、あまり色んな場所に移りたくない傾向が強い。当時も、折角日本に馴染んだのだから、どこにも行きたくないと思っていた。日本に過剰適応していた時期がある一方、海外生活の影響がないはずはないと考えている。
たくさんの言語が飛び交う環境で過ごしてきたせいか、様々な言語を操る人々の中で生じるミスコミニュケーションに堪えられない自分がいる。それに対して、自ら何かを発することで誤解が解けたり改善するならば、役に立ちたいと強く思うのも特徴的と言えるだろう。
と語られるももさんは、その他にも、たくさんのエピソードを披
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