028.【TCK Home Interview⑯】金 裕珍 さん

投稿者: | 2020年8月3日

元帰国子女(海外で幼少期・学童期を過ごした期間のある方=TCK)をお招きしてご自身の海外移動がもたらした影響・Home感について語っていただくコーナーです。

だれでも、生まれてからずっと付き合っている自分自身。
そして、海外移動が何を自分の人生にもたらしたのか、
ゲストの皆さんが大人になったからこそ、見えて来たものがあるはずです。

社会場面では、なかなか語られなかった事柄、
語れなかった想いなど、掘り下げていきたいと思います。
元帰国子女の「HOME」を聴くことで、日本の将来の国際性も見えてくると期待しています。


― 第16回目のインタビューは、金 裕珍(キム ユウジン) さんのお話です。

海外渡航歴6回
(ソウル生まれ/4-10歳 日本東京、公立校に通う/10歳 ソウルへ/18-21歳 再度来日、大学進学/19-20歳 アメリカ交換留学/24-26歳 アメリカボストン編入留学/ 22歳、 27-30歳 シンガポール勤務)

・幼少期、日本での6年間は濃くて楽しく、子供時代の素敵な思い出になった。
当初は納豆が食べられなかったり、自分の名前が周りの子達とは違うと感じたこともあったが、クラスの代表委員も務めるほど周りに溶け込んでいた。

・小4でソウルへ戻って、初めて自分は周りの子たちと考え方が違い、共有する経験が少ないことに気づき、ある種の疎外感を感じる。逆カルチャーショックだった。
言語、人間関係の創り方、話し方、遊び方、ルール、先生の教え方、学校での出来事(お弁当の扱い方)などから大きな違いを感じた。しかし、なぜ違うのか、どうすればうまく適応できるのか、誰と話せば自分の状況や気持ちを理解してもらえるのか分からず辛かった。

・誰かの助けを必要としていたとは思うが、当時は悩みを説明してくれる人は存在せず、混乱している自分を責めたり、変えようとしながら、自分なりにうまく消化していくしかなかった。
周りに受け入られてもらうために必死にもがき、周りと全て同じにはなれない自分がいた。それ以後、親の都合により国内で何度も繰り返された引越しにより、自分は一体誰か、どうすればいいのか、ますます分からなくなっていった。

・大学へ進学して、海外渡航経験のある学生や国際結婚家庭の学生など、文化的に複雑で、自分と似た感覚を持った「仲間」がたくさん見つかり、「自分だけが違うのではない」と安堵できた。
幼い頃は、実態が分からず長年悩みの種だった社会のいろんなもやもやは、社会学に出会って初めて解けるようになった。 大きく俯瞰すると、人々は、目には見えないが社会の仕組みや圧力によって、様々な生き方をし、時にはその歪みによって苦しんでいるのだと思う。それらを解決できる一助になれるよう、9月よりロシアの大学院でさらに学びを重ねたいと思う。

と語られる裕珍さんは、その他にも、たくさんのエピソードを披露してくださいました。
裕珍さんのTCK体験をお楽しみください。

 


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